大きな窓側の席からだと、広々とした室内用の様子がよく眺められた。

「君は当時、どう思っていた?」

 紅茶を飲みながら、彼が静かな口調でそう言った。

 どきりとした。あなたこそ、と口から出かけた言葉を飲み込んだのは、アンドレアが落ち着いた横顔をこちらに向けていたからだ。

「どうして、そうお聞きに?」

 尋ねると、やはり珍しくティーカッブを覗いて彼が少し間を置く。

「心もすべて打ち明けて、君と、話したいと思ったから」

 エステルは、彼から、我が家の見慣れた美しいサロンの光景へとゆっくりと視線を戻した。

 それを見ていると、心は次第に元の通り落ち着いていく。

 彼が、話す場をエステルの屋敷だと決めた理由がなんとなく分かった気がした。それから彼も、正直に話すのに緊張していること。

 彼は、そういうのが下手そうだ。

(どこかの王子様と違って、とても口が堅いところがあって――)

 出会った時、とてもしっかりしているいる印象はそのままだと思った。

 そこも、エステルは好きになったのだ。