その日、アンドレアはエステルと結婚すると声明を発表してしまった。

『魔力をほとんど失ってしまった彼女を、支えていきたい』

 あらゆる手でもって彼女の体調もよくなるよう努力していきたいと、王宮の演説バルコニーに立って語った。

 集まった国民は彼の演説に涙し、魔法で各地にまで届けられ貴族達も支援の声明を出す。

 アレス伯爵は惨敗を感じたのか、静かに身を引いていったようだ。

 それをエステルは、屋敷にやってきたユーニ自身から聞いた。

「あ、大丈夫です。お兄様にも許可をいただいていますから」

 ユーニは、父のアレス伯爵に言われてアンドレアと交流していたようだ。

 はっきりしなかった王太子の気持ちが分かってよかったと、迷いや、父に対する緊張感からも解かれたことを朗らかに語った。

 話してみると芯もある女性だった。かわい子ぶってアンドレアに近づいたことも、きっちり詫びられた。

 普段はこうなのだと聞いたエステルは、素の彼女に好感を覚えた。