俺の胸に置かれた小さな手に、ぎゅっと力がこめられた。
いつもは小手に隠れて見えないこの手をじっくり見るのは、初めてかもしれない。
滑らかな皮膚。
ほっそりした骨格。
爪には、ただ色を塗っただけの足先とは違って、繊細なデザインが施されている。
この手が竹刀を握り、あんな力強い技を繰り出すなんて信じられない。
その手が今は震えている。
あの時みたいに。
今は弱々しく見えるその手に、俺は触れたくてたまらない。
だけど、そっと自分の手を重ねようとしたその時、すっとその手が体から外された。
それと同時に、背中に感じていた熱も離れていく。
離れた瞬間、大量の汗が浴衣にしみ込んでいるのが、肌に張り付いた感じと微かに撫でる夜風で感じた。
ぎこちなく振り返ると、美緒は俺から顔をそらして乱れた髪を撫でつけていた。
「今のは、ドウだよ」
「……え?」とすっとぼけた声を放つ俺に、美緒はぎこちなく笑いながら話し続けた。
「もうほんと享ちゃんは、隙だらけなんだから。高校で、女の子に弄ばれてない? 享ちゃんはすぐに鼻の下伸ばすんだから」
それは、友樹だろ。
「ぼうっとして、しょうもない恋に落ちないか、心配だよ、まったく」
そんな心配しなくていい。
だって俺には美緒しか見えてないから、昔から。
「そんなんじゃモテないぞ」
モテなくていい。
美緒さえ、俺を見てくれたら。
いや、モテはしたいけど。
にっと笑った顔が、ちらりとこちらに向けられた。
昔から変わらないその幼げな笑顔に、心が引き戻される。
その笑顔は、まるで俺の目の前にぱっと開いた、花火のようだった。
いつもは小手に隠れて見えないこの手をじっくり見るのは、初めてかもしれない。
滑らかな皮膚。
ほっそりした骨格。
爪には、ただ色を塗っただけの足先とは違って、繊細なデザインが施されている。
この手が竹刀を握り、あんな力強い技を繰り出すなんて信じられない。
その手が今は震えている。
あの時みたいに。
今は弱々しく見えるその手に、俺は触れたくてたまらない。
だけど、そっと自分の手を重ねようとしたその時、すっとその手が体から外された。
それと同時に、背中に感じていた熱も離れていく。
離れた瞬間、大量の汗が浴衣にしみ込んでいるのが、肌に張り付いた感じと微かに撫でる夜風で感じた。
ぎこちなく振り返ると、美緒は俺から顔をそらして乱れた髪を撫でつけていた。
「今のは、ドウだよ」
「……え?」とすっとぼけた声を放つ俺に、美緒はぎこちなく笑いながら話し続けた。
「もうほんと享ちゃんは、隙だらけなんだから。高校で、女の子に弄ばれてない? 享ちゃんはすぐに鼻の下伸ばすんだから」
それは、友樹だろ。
「ぼうっとして、しょうもない恋に落ちないか、心配だよ、まったく」
そんな心配しなくていい。
だって俺には美緒しか見えてないから、昔から。
「そんなんじゃモテないぞ」
モテなくていい。
美緒さえ、俺を見てくれたら。
いや、モテはしたいけど。
にっと笑った顔が、ちらりとこちらに向けられた。
昔から変わらないその幼げな笑顔に、心が引き戻される。
その笑顔は、まるで俺の目の前にぱっと開いた、花火のようだった。


