八月十五日の花火


「ちょっとどうしたの? 大きな声出しちゃって」


 母さんが縁側から恐る恐るといった感じでこちらをうかがっている。

 俺は気まずく目を伏せた。

 それでも居心地が悪くて、この場から逃げようとした時、「友くん、ちょっとこっち手伝ってもらっていい?」と友樹が呼ばれた。


 くそぉ、自分の息子より隣のエロ息子を頼るとは、俺はどこまでも落ちぶれてるなと思わずにはいられなかった。

 でもまあ、そうだよな。

 こんな息子、いてもいなくてもいいよな。

 弱くて、頼りなくて、度胸もなくて、ヘタレで。

 自慢できることもない。

 自分の誕生日を、あんな風に罵る息子。

 産んでもらって、毎年祝ってもらって、感謝の気持ちこそあってもいいのに。


__俺、生まれてこなかった方が、よかったのかな。


 ここが自分のいるべき場所ではないような気がして、下駄をズリズリと地面に引きずりながら、俺は庭から玄関の方に歩いた。

 俺は、ここにいない方が良いのかもしれない。

 だったらどこに行けばいいだろう?

 どうしたらいいだろう?

 このまま、もう後戻りはできないのだろうか。

 友樹ともこのままで、美緒にもあんな顔させたままで、剣道も辞めて……。

 俺はこの夏、何もかもを失ってしまうんだろうか。