俺の誕生日のケーキは、いつのころからか美緒が焼いて持ってきてくれるようになった。
美緒もまた、俺の家の隣に住む幼なじみだ。
そして美緒の祖父もまた俺たちのじいちゃんの幼なじみであり、父親同士が幼なじみであり、俺たちと同じく、友樹のじいちゃんの剣道場に通っていた。
ただ美緒は、俺たちより二つ年下だった。
俺はまだ痛む脳天を押さえながら、「ありがとう」と唇を突き立てたまま受け取った。
「まったく享ちゃんは、油断しすぎなんだよ、毎年毎年。
この時間になったら、そろそろ私のメンが来るなって、構えてないと」
「それはメンじゃなくて空手チョップだろ。友樹も気づいてたんなら言えよ」
「言ったら面白くないだろ?」
「ねーー」なんて、仲良さげに二人で同調する。
そんな二人に挟まれて、俺の気分がいいわけがない。
不貞腐れていると、不意に美緒が俺の顔をのぞき込んできた。
俺を見つめるその大きな瞳に、心臓がドクンと跳ねた。
「ねえ、どう? 今年の浴衣」
俺は視線だけで美緒の姿を上から下までなぞった。
美緒もまた、俺の家の隣に住む幼なじみだ。
そして美緒の祖父もまた俺たちのじいちゃんの幼なじみであり、父親同士が幼なじみであり、俺たちと同じく、友樹のじいちゃんの剣道場に通っていた。
ただ美緒は、俺たちより二つ年下だった。
俺はまだ痛む脳天を押さえながら、「ありがとう」と唇を突き立てたまま受け取った。
「まったく享ちゃんは、油断しすぎなんだよ、毎年毎年。
この時間になったら、そろそろ私のメンが来るなって、構えてないと」
「それはメンじゃなくて空手チョップだろ。友樹も気づいてたんなら言えよ」
「言ったら面白くないだろ?」
「ねーー」なんて、仲良さげに二人で同調する。
そんな二人に挟まれて、俺の気分がいいわけがない。
不貞腐れていると、不意に美緒が俺の顔をのぞき込んできた。
俺を見つめるその大きな瞳に、心臓がドクンと跳ねた。
「ねえ、どう? 今年の浴衣」
俺は視線だけで美緒の姿を上から下までなぞった。