「メーン」


 突然脳天にものすごい衝撃を受けた。

 頭頂部を手で押さえながら振り返ると、その姿に思わずはっとなって言葉を失った。

 そんな俺の代わりに、友樹が軽い調子で声を出す。


「おお、美緒。決まったな」


 二人して悪ガキの表情を作って、俺の目の前でハイタッチを交わす。

 まったく癪だぜ。


「享ちゃん、お誕生日おめでとう。はい、ケーキ」

 
 憮然としている俺の目の前に、すっと大きめの箱が差し出された。

 俺はそれをそっと受け取った。

 大切なものを扱うように。