「あれ、誰? かっこいい……。」
「見たことない制服だけど、うちらと同じ高校生だよね? ってことは誰かのお兄さんかな?」
「なんか一年の、篠崎くんに似てない? ほら、サッカー部の期待の新人っていう……。」
「言われてみればたしかに。え、もしかして親戚とかかな?」
――ふと。
ひそひそとささやき合う声が耳に届いて、校門の方に視線を投げた。
そこにいたのは、家出をしてきたときに着ていた制服姿の、
「茜くん……⁉」
「あ、ひな。お疲れ。」
茜くんは私の姿を認めると、ひらひらとこちらに向かって手を振った。
「ちょちょちょ、ちょっと! どうして学校まで来てるの……⁉」
「ああほら、朝、ひな元気なさそうだったからさ。なんかトラブルでもあったのかなーって思って、心配でさ。」
慌てて駆け寄ると、茜くんはあっけらかんと言う。心配してくれたのはありがたいけど、茜くん今、家出中でしょ⁉ 目立つことしていいの?
「ほら親友の、理子ちゃんだっけ? その子とケンカでもしたのかと。それで帰り道を一人さびしくとぼとぼ歩くのはカワイソーかなって思って、迎えに来た。ひな、クラスでしゃべる子はいても、あんまり仲良い友達はいなそうだし……。」
「余計なお世話だよ⁉」
まあ図星だから言い返せないんだけど!
もう、茜くんてば、時間が経つにつれて私の扱いがぞんざいになってる気がする!
「えーと、……ひなちゃん、知り合い?」
「あ……うん! ごめん、直樹くん!」
まもなく追いついてきた直樹くんに尋ねられ、慌てて返事をする。
茜くん登場の衝撃で、一緒に帰宅することがすっかり頭から飛んでた。我ながら失礼すぎる。
「この人が篠崎茜さん。ほら前説明した蒼の従兄で、私の幼なじみの。」
「ああ、あの……。道理で、蒼によく似てるな。」
直樹くんがすっと目を細める。つぶやいた声は心なしか低い。
茜くんはにこっと笑って、「よろしく」と言うが――あれ、なんか、目が笑ってなくないか?
「佐古直樹クン、だっけ? 聞いてるよ、ひなと蒼のクラスメイトなんだって。うちのひながお世話になってます。」
「見たことない制服だけど、うちらと同じ高校生だよね? ってことは誰かのお兄さんかな?」
「なんか一年の、篠崎くんに似てない? ほら、サッカー部の期待の新人っていう……。」
「言われてみればたしかに。え、もしかして親戚とかかな?」
――ふと。
ひそひそとささやき合う声が耳に届いて、校門の方に視線を投げた。
そこにいたのは、家出をしてきたときに着ていた制服姿の、
「茜くん……⁉」
「あ、ひな。お疲れ。」
茜くんは私の姿を認めると、ひらひらとこちらに向かって手を振った。
「ちょちょちょ、ちょっと! どうして学校まで来てるの……⁉」
「ああほら、朝、ひな元気なさそうだったからさ。なんかトラブルでもあったのかなーって思って、心配でさ。」
慌てて駆け寄ると、茜くんはあっけらかんと言う。心配してくれたのはありがたいけど、茜くん今、家出中でしょ⁉ 目立つことしていいの?
「ほら親友の、理子ちゃんだっけ? その子とケンカでもしたのかと。それで帰り道を一人さびしくとぼとぼ歩くのはカワイソーかなって思って、迎えに来た。ひな、クラスでしゃべる子はいても、あんまり仲良い友達はいなそうだし……。」
「余計なお世話だよ⁉」
まあ図星だから言い返せないんだけど!
もう、茜くんてば、時間が経つにつれて私の扱いがぞんざいになってる気がする!
「えーと、……ひなちゃん、知り合い?」
「あ……うん! ごめん、直樹くん!」
まもなく追いついてきた直樹くんに尋ねられ、慌てて返事をする。
茜くん登場の衝撃で、一緒に帰宅することがすっかり頭から飛んでた。我ながら失礼すぎる。
「この人が篠崎茜さん。ほら前説明した蒼の従兄で、私の幼なじみの。」
「ああ、あの……。道理で、蒼によく似てるな。」
直樹くんがすっと目を細める。つぶやいた声は心なしか低い。
茜くんはにこっと笑って、「よろしく」と言うが――あれ、なんか、目が笑ってなくないか?
「佐古直樹クン、だっけ? 聞いてるよ、ひなと蒼のクラスメイトなんだって。うちのひながお世話になってます。」