「え……っ!」
「もう、ひな! この人、誰なの⁉ まさか付き合ってるわけじゃないよね? この写真が出回ってから、ひなが篠崎に告白したことを知ってる人たちのあいだでは、かなり燃えてるよ!」
「……ッ!」
ようやく事態を飲み込めて、私は一気に青ざめる。
……私が蒼に告白した、ということは、一部の男子に知られている。学年中に広まっているというわけではないのかもしれないけど、そこそこの数の男子が『あの場』にいたんだから、あれから私の告白について知る人が増えているだろうということは、想像に難くない。
それなのに、喉元過ぎればなんとやら、というように、告白をして数日後にはその蒼とそっくりな茜くんと二人で出かけている、なんて――反感を買うに決まってる。
加えて、あのショッピングモールには、うちの学校の生徒たちもよく来る。施設内にはゲームセンターや小さなシアターもあるので、中高生にとってはデートスポットとしても知られている。
ということは、あの場にクラスメイトがいたとしても、まったくおかしくない
燃えている、というのだから、きっとSNSが炎上しているんだろう。
……別に、茜くんと私は付き合ってるわけでもないし、私が誰と仲良くしていたって、何も悪くないはずなんだけど。
ただ、もう少し気を配っておくべきだった。もめたり、反感を買ったりしたくなければ、気をつけなきゃいけなかった。
蒼は人気者なんだ。下手なことをしたら、炎上するのもしょうがない。
「でも、写真を回すなんて酷い……。」
盗撮は盗撮だし、それを面白がって広めるなんて。
……蒼は知ってるんだろうか。私と茜くんのことが、騒ぎになってるっていうこと。
「ひな、大丈夫? ごめん、あたしもちょっと焦って、きつい言い方しちゃった。」
「全然大丈夫、ありがとう理子。私、あんまりそのSNS見ないから、知らせてくれて助かったよ。」
「そう? ならいいんだけど……、それで?」
理子が目を細め、私をじっと見つめる。
「結局その、篠崎茜さん? っていうのは誰なの? 篠崎の従兄なのはわかったけど、まさか……本当に付き合ってるの?」
「そんなわけないじゃん! 茜くんはただの幼なじみだよ!」
意識して、強く否定する。
そりゃ、土曜日に二人で出かけたのは誤解されるような行動ではあったけれど、あれは「失恋残念会」的な、気分転換のためのデートだったんだ。茜くんは私を心配してくれただけだ。やましいところは何もない。
「……そうなの? でも、ずいぶん仲良さそうに見えるんだけど。」
理子はややいぶかしんでいる様子だったが、私はあくまで友達で幼なじみだ、と強調する。
「まあ、仲良くはあるかもしれないんだけどね……。幼なじみだからってこともあるけど、そもそも茜くん大人だし、優しいし……。あの、くわしい事情は省くんだけど、茜くん、今うちに居候してて。のっぴきならない事情でプチ家出してきて、一時的に部屋を貸してるの。」
「え⁉ じゃ、じゃあ……今、その茜くんとひとつ屋根の下で生活してるってこと⁉」
「もう、ひな! この人、誰なの⁉ まさか付き合ってるわけじゃないよね? この写真が出回ってから、ひなが篠崎に告白したことを知ってる人たちのあいだでは、かなり燃えてるよ!」
「……ッ!」
ようやく事態を飲み込めて、私は一気に青ざめる。
……私が蒼に告白した、ということは、一部の男子に知られている。学年中に広まっているというわけではないのかもしれないけど、そこそこの数の男子が『あの場』にいたんだから、あれから私の告白について知る人が増えているだろうということは、想像に難くない。
それなのに、喉元過ぎればなんとやら、というように、告白をして数日後にはその蒼とそっくりな茜くんと二人で出かけている、なんて――反感を買うに決まってる。
加えて、あのショッピングモールには、うちの学校の生徒たちもよく来る。施設内にはゲームセンターや小さなシアターもあるので、中高生にとってはデートスポットとしても知られている。
ということは、あの場にクラスメイトがいたとしても、まったくおかしくない
燃えている、というのだから、きっとSNSが炎上しているんだろう。
……別に、茜くんと私は付き合ってるわけでもないし、私が誰と仲良くしていたって、何も悪くないはずなんだけど。
ただ、もう少し気を配っておくべきだった。もめたり、反感を買ったりしたくなければ、気をつけなきゃいけなかった。
蒼は人気者なんだ。下手なことをしたら、炎上するのもしょうがない。
「でも、写真を回すなんて酷い……。」
盗撮は盗撮だし、それを面白がって広めるなんて。
……蒼は知ってるんだろうか。私と茜くんのことが、騒ぎになってるっていうこと。
「ひな、大丈夫? ごめん、あたしもちょっと焦って、きつい言い方しちゃった。」
「全然大丈夫、ありがとう理子。私、あんまりそのSNS見ないから、知らせてくれて助かったよ。」
「そう? ならいいんだけど……、それで?」
理子が目を細め、私をじっと見つめる。
「結局その、篠崎茜さん? っていうのは誰なの? 篠崎の従兄なのはわかったけど、まさか……本当に付き合ってるの?」
「そんなわけないじゃん! 茜くんはただの幼なじみだよ!」
意識して、強く否定する。
そりゃ、土曜日に二人で出かけたのは誤解されるような行動ではあったけれど、あれは「失恋残念会」的な、気分転換のためのデートだったんだ。茜くんは私を心配してくれただけだ。やましいところは何もない。
「……そうなの? でも、ずいぶん仲良さそうに見えるんだけど。」
理子はややいぶかしんでいる様子だったが、私はあくまで友達で幼なじみだ、と強調する。
「まあ、仲良くはあるかもしれないんだけどね……。幼なじみだからってこともあるけど、そもそも茜くん大人だし、優しいし……。あの、くわしい事情は省くんだけど、茜くん、今うちに居候してて。のっぴきならない事情でプチ家出してきて、一時的に部屋を貸してるの。」
「え⁉ じゃ、じゃあ……今、その茜くんとひとつ屋根の下で生活してるってこと⁉」