とある国に仕えていた両親が亡くなった。

 それを機に、魔法を使うことができた僕は幼いながらに国へと招かれた。

 けれど、労働環境は最悪。

 いや、最悪と呼ばれるほど最悪というわけではなかったけど、幼い頃の僕は妬みの感情に囲まれながら生きていくことになった。


「っ」

「ニコライズ、魔法が使えるからって高慢な生き方をするんじゃない!」


 世界は、魔法を使うことができる人と魔法を使うことができない人の2つに分かれることになった。


「……誰が、高慢な生き方を?」

「その目だよ! その目が生意気なんだよ!」


 神様は人という命全員に等しく魔法を授けていると言われていても、せっかく授けた魔法を枯らせてしまう人間がほとんど。

 育てることのできなかった魔法、開花させることができなかった魔法は、世界から消えていってしまう。


「はぁ」


 今日も殴られる。

 昨日も殴られた。

 一昨日だって、これからやって来る明日だって、魔法の使うことができない人たちからの暴力を受ける。

 理不尽だ。

 魔法を枯らせてしまった方が悪いのに、どうして魔法を育てることができた人間が虐げられなければいけないのか。


(反撃したら……国を追い出されてしまう……)


 別に、国を追放されることは恐れていない。

 国を追い出されても、神様から授かった魔法があればなんとか生きていく手立てはあるはず。

 それでも僕が、国を出ようとしなかったのは……。


「あはは、ぎこちなさすぎて面白い!」

「女王様っ! 笑ってばかりいないで、正しい抱き方を教えてください!」


 一国の姫である、リザベッド・クレマリーの世話係を任命されたからだった。