図書館まで続いている魔法樹の並木道。

 魔法樹から舞い降りてくる花びらに包まれながら、魔法樹に宿る命を体感する。

 息をしている木々の様子を視界に入れると、不思議と自分まで大きく深呼吸をしてしまいたくなる。


「あの、リザ……」

「今日は、どの本を読みましょうか……」


 人間の力で開くことのできない大きさの扉が、魔法の力で開放される。

 そして、私と魔法使い様は宙を舞う多くの本たちと対面する。

 
「……僕たちが大きくなる頃には、魔法が使えなくなるんだって」

「え?」


 私たちが住んでいる、この世界。

 いつか、魔法と呼ばれている未知で不思議な力は失われてしまうと言われている。


「……どうして……ですか……?」

「僕に聞かないで……」


 明日、世界から魔法が失われてしまうかもしれない。

 私たちが生きている間なら、魔法は存在し続けるかもしれない。

 頭のいい人たちや、偉い人たちは今日も明日も議論を交わしていく。

 
「だって! 魔法が滅んでしまったら、魔法使い様は国からいなくなってしまう……」

「そうだよ」

「……………」


 いつもなら、空中を浮かぶ本たちに私たちは魅入られる。

 そして、優しい優しい魔法司書さんが、こんな風に話しかけてくれる。


『本日は、リザベッド様に素敵な出会いがありますように』って。


 でも、今日は……。


「ぐすっ……」

「リザ!?」

「嫌です……魔法がなくなっちゃうなんて……嫌です……」


 魔法司書さんは、私たち2人の頭を優しく撫でてくれた。

 泣かないで。

 私が泣くのをやめないと、魔法図書館の本たちが悲しんでしまうから。

 そう、お話してくれた。