「お前の結婚でも一時ファン減ったこともあったんだぞ。それに他のメンバーのスキャンダルも芋づる式に発覚するし。それを俺らがどう盛り返したか!」
 サクラは声を荒立てる。

 イチヤはすまなかった、と。人気アイドルが人気絶頂、これからと言う時に結婚、しかも授かり婚というのはタブーに近かった。

「9周年乗り越えたら10周年! そこまで待ってくれよ!」
 2人は首を横に振る。

「3年後、滅亡するまでナインズカンパニーでいてくれよぉおおおお」

 イチヤがそう叫ぶが他の2人は去って行った。



 そして翌週。


「国民的人気アイドルグループ、ナインズカンパニー、チュウジとサクラが卒業! リーダーのイチヤだけ残留。方向性の違いが原因か。3年後の人類滅亡発表に次ぐさらなる衝撃!」


 と新聞に出た。


 人類滅亡の発表が無くてもこれは時間の問題だったのかもしれない。

 そして二人が卒業を決めてもイチヤは卒業をせずナインカンパニーを守る、いや自分の人生、家族、そして応援してくれる人たちのことを思うとまだ卒業はできない。
 自分が何ができるのか、一人になったナインカンパニーは支持されるのかまだ未知数だが自分にはこれしか残ってないのだ。

 残りの三年、そう三年ならきっと見つかるだろう。そして滅亡の時が来たら晴れてアイドルを卒業し死を全うしよう。

 とイチヤは絶望と不安と共に天を仰いだ。