「どうだ?気に入ったか?」
「は、はい……!!すごいです……!本当にここに、住んじゃっていいんですか?」
「もちろんだ。花嫁であるお前のための部屋だからな」
「わぁ……!すごい……!」
 いつまで経っても目を輝かせる鈴に惹かれて、どうしようなく愛しさが溜まっていってしまう鬼堂であった。
「鈴、ここがいくら安全だとはいえ心配事はまだある。だからお前に護衛をつけることにした」
「護衛?」
「ああ。まだ子供だがだいぶ使えるヤツをな」
「子供……?」
 子供が護衛だなんてと不思議に思いながら、目をぱちくりさせる。
 そして、ドーンという大きな音と共に現れたのは……。
「お姉さんが僕の主様か!」
「えっ、かわ、可愛い……!!」
「僕は影乃狼(カゲノ ロウ)。お姉さんの護衛係です」
 愛らしい大きな狼の耳に、モフモフの尻尾。
「コイツはざっくり言って狼だな」
「へぇ〜!狼くん、私は三上鈴です、これからよろしくね」
「はい!」
 にこーっと微笑んだ狼が愛らしくてたまらなくて、つい口元を手で覆い悶えてしまう。
「っ〜!ろ、狼くんは今何歳なの?」
「ざっと115歳です!」
「……え?」
「?どうかしましたか?」
「ひゃ、115歳……?」
(13歳ぐらいの男の子が……!?)
 ポカンと開いた口が塞がらない鈴は、次に鬼堂の方を向く。
「じゃ、じゃああなたは一体何歳……?」
「俺はざっと250歳だな。まぁ人間で言う18歳ぐらいだろう」
「に、にひゃっ……!」
(あ、あやかしと人間って、こうも歳の進み具合が違うんだ……!)
「安心しろ、俺と結ばれることによって鈴の寿命も伸びる。ちゃんと一緒に入れる時間は増えるからな」
 にっこり微笑んで、そんなことを言ってくる鬼堂にもう頭が大混乱しながらも、鈴のかくりよでの生活は幕を開けた。