ぺこりと頭を下げた鈴。
「あの、鬼堂さん?当主様って……」
 ジーッと鬼堂の方を見つめる。
「ん?俺のことだが」
「なっ……!!それならそうと最初に言ってくれればよかったじゃないですか!!」
「言おうとは思ったが、邪魔が入ったからな」
「はぁ……でも、よかった……」
(これで美鈴のこと、相談できる……!)
 胸を撫で下ろした鈴。
「当主に話があるのだろう?」
「はい」
「ではお前の部屋に行って話を聞こう」
「私の部屋?もう準備できたんですか!?」
「ああ。便利な異能力があるからな」
「異能力……?」
(聞いたことはあるけど……本当に存在してるんだ)
 あやかしの中でもごく一部の者しか使うことのできない異能力。人間があやかしを恐れる理由の一つだ。
「知らないのか?」
「聞いたことはあります」
「では今度見せてやろう」
「あ、ありがとうございます」
(魔法みたいなもの、なのかな……?)
 うーんと想像を膨らませながら鬼堂の後をついていく。
 さりげなく手を繋がれていることに気づくも、力で負けてどうしようもすることがなく諦めている鈴だった。
(にしても、綺麗な建物だなぁ……ん?当主様ってことは、このお城この人のものなの……!?)
 やっと気がついて、目をまん丸にしながら鬼堂を少し見つめる。
「着いた。隣の部屋は俺だから、何かあればすぐに言ってくれ」
「は、はい」
(隣……めちゃくちゃ遠いな)
 一部屋一部屋が大きすぎて、隣もだいぶ遠い構造になっていた。
 鬼堂が部屋の扉を開けるとそこには、大きなベッド、綺麗なソファにテーブル、勉強机や鏡台が綺麗に配置されていた。
 洋風に聞こえるものの、和がたくさん取り入れられていて、本当に異世界のような内装になっていた。
 そんな部屋を見て鈴はまた目をまん丸にさせる。