「そ、そうだ……!そうだった!」
 ガタガタと震え始める美鈴。
「ぼ、僕、バレたらここにいれなくなるんだ……!!」
「だーいじょうぶだよ、私が守ってあげるから〜」
 枕に抱きついて、ふぁーとあくびしながら呑気に鈴がそんなことを言う。
「だめに決まってる!!ご当主が変わったんだ、もう許してくれはしない……!!」
 その昔、家に住み着いていた三毛猫が実は妖力の少ない猫又だっただとかで美鈴は代々この家で密かに飼われていた。
 本来なら御法度だが、美鈴は先代の鬼の当主にとても気に入られていたため特別に許されていたのだ。
 けど当主が変わってしまった今、もうかくりよへ帰らなければいけないかもしれない。
「いい加減起きてよ鈴!」
 ボフッと身体に乗れば、やっと起きた鈴。
「ごめんごめん、わかったよ。それで……どうしたら、美鈴があっちに行かなくて済むの?」
「今の当主様が僕がここにいることを許してくれれば全部済む話だよ」
「……私、美鈴とは一緒にいたい」
「鈴……」
 うるうると瞳を揺らす美鈴。