「今までちゃんとそういうことをしてこなかったから……先ほど言いかけたことがあるんだが、ちゃんと全部話さないといけない」
「はい、します」
(はっ! 即答すぎだ私!)
頭より先に口が動いた感じで、美也は答えていた。
あわあわする美也と恥ずかしそうな榊。
そんな二人を見ていた奏が、ひとりできゅんきゅんしていた。
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「あの~、奏さん……」
「まだダメよ、あんたに似合うの選ぶんだから」
「そうは言ってももう何軒目……」
「あんな超絶イケメンとデートするのよ!? 女だって相応の恰好しなきゃダメ!」
「は……はい……」
美也と榊のデートに闘士を燃やしているのは、何故か奏だった。
――その準備のために奏に連れ出された土曜日。
美也は手元にあるもので準備すると言ったのだが、奏が「そんなんじゃだめ! 気合入れなさい!」と押し切ってきたのだ。
「いいの買えたわ~」
喫茶店で、奏は満足そうにしていた。
一方の美也は落ち着かないでいる。
美也のような中学生からしたらお高めのチェーン店のコーヒーショップ。
注文の仕方もわからないで泡食っていたら、奏がアイス抹茶ラテを注文してくれた。
支払いも、奏が自分のアイスティーと一緒に済ませてしまったのだ。
そして美也が挙動不審でも店員さんは優しく待ってくれていた。
「あの、お金返します――」
落ち着かない美也が挙動不審になりながらそう言うと、奏はストローに口をつけていたアイスティーを持ったまま美也を見てきた。
「あん? ああ、いいのよ、今日はあたしが無理やり連れてきたんだからあたしが払って当然じゃない」
「でも、お洋服まで……」
「それなら美也の持ってるはずだったお金持ってきてるから心配しなくていいわ。あんたが払ったのと同じこと」
「……はい?」