「え!?!?」
「さ、榊さん!!」
「ちなみに俺は人間ではない。龍神だ」
「え!?!?!?」
「榊さん!?」
榊がどんどんバラしていくので、奏は理解が追い付かず、美也は話していいことなのかと混乱した。
「いや、なんかもう色々詮索されんの面倒だなーと」
投げやりな榊の言い方は、まるで当事者でなく他人事のようだ。
奏ががばりと体を起こしたので、美也は支えるように奏の背中に手を当てながら怒鳴った。
「そういう問題ですか!? あの、奏さんこれは――」
「あああああ、あんたの結婚する相手なの!?」
「あの、奏さ……」
「きゃーっ、憧れるー! プロポーズの言葉ってなんですか!?」
そこ!? と美也もびっくりした。更に意識が戻ったばかりなのにそこまで興奮して大丈夫かと心配になる。
榊の顔が難しくなった。
「愛村奏……お前がこれ以上害するなら美也を連れ去ろうと思っていた。だが、お前は美也を嫌悪していただけではないのか?」
「連れ去るって……龍神なら神隠し!?」
「簡単に言えばそうだ」
奏相手だからわざとそういう言い方をしているのだろうか? と美也は思ったが、奏が、榊が龍神であるとすとんと信じているのも驚きだった。
「奏さん、榊さんが人間じゃないって……納得できるんですか?」
「え? あ―――、そうね。あんたは知らないと思うけど、お父さんが小さい頃あたしに言ったことがあるのよ。おばちゃん……妹は普通の人には見えないものが見えるヤツだから、あんまり近づくな、って……。そのときは意味もよくわからなかったけど、だからかしら、あんたの相手がそういう存在も、疑問とかないのよね」
「奏さん、柔軟ですね……」
美也は思わず感心してしまった。
そしてやはりおじは、母に対してそういう風に思っていたのか。
奏が正座に恰好を変え、美也と榊、二人を前にするように座った。