果穂(かほ)七海(ななみ)なんか、もう知らないんだからっ……」

 場を盛り上がらせているのは彼女たちだけではないけれど、わたしの不満の矛先は、大して親しくない面子(めんつ)よりも、仲良しだった子たちに向けられた。

『てか明日、誰かカラオケ行ける人いない!?久々に激しく歌って、ダンスでもしたい気分〜!』

 最後、そんなメッセージに既読をつけたところで、サイレントモードでも辛抱ならなくなったわたしは、スマホの電源を落とすことにした。

 ベッドの傍へとそのスマホを放り投げて、枕に突っ伏す。
 思い出すのは、先ほど聞こえてしまったお母さんの言葉。

 最近また一段と、心のバランスが取れなくなってきているみたい。

 わたしもそう思う。近頃のわたしはまさに、情緒不安定だって。

 クラスのみんなから、病人だからと言って一線引かれたことが嫌だったはずなのに、以前のように明るいメッセージを寄越されたら寄越されたで、気分を害しているわたし。

 結局今のわたしは、心配されても放っとかれても、優しくされてもされなくても、きっとなにをされたって、不服に思ってしまうのだろう。