開けてみ、とスマホごと渡されて、まじまじとお守りを見やる。

 裁縫上手なちーちゃんが、フェルトを縫い合わせて作ってくれたもの。

 和子ちゃんと離れちゃったら、一緒に治療を頑張ることはできないけど、このお守りが和子ちゃんの病気を、必ず治してくれるからね!

 と、当時のちーちゃんがくれた言葉を思い出しながら、そっとお守りの上部を並縫いで留めてある糸を引っ張ってみた。
 すると年季の入った糸は思いのほかあっさりとほつれて、その中身をあらわにした。

「ほんとだ、手紙だ……」

 手のひらサイズのお守りよりも、小さく折りたたまれていた白い便箋。

 それを(ひら)こうとした手が小刻みに震え出して、助けを求めるようにユーイチに視線を送ると、彼はその意を悟ってくれて、わたしの手を握りしめた。

「大丈夫だよ、和子」
「う、うん」
「そんな緊張しなくても、大丈夫」

 初めての学芸会にでも出る時の気分だった。そのくらい、ドキドキした。

「十年後の、和子ちゃんへ……」

 やっとのことで開いた手紙の内容を、ユーイチにも聞かせてあげようとしたわたしだけれど、それは初めの一行を読んで諦めた。

「十七歳の和子ちゃんの心臓は、なおってるって信じて、ま……」

 だって涙腺が、崩壊したから。

「う、ううっ……!」

 ユーイチやテメさん、果穂や七海が押してくれたわたしの背中を、最後にちーちゃんが思いきり押してくれた。