霊園の最寄り駅。
 ユーイチのお母さんは、「ふたりのほうが気兼ねないでしょ」と言い、自宅方面の電車へと乗って行った。

 対してわたしとユーイチは、逆方面へ向かう電車へと乗り込んだ。

「ちーちゃんの家、どこだか知ってるの?」

 スマホのアプリで地図をチェックして、さくっと椅子に腰を下ろすユーイチに聞く。

「まあ、うん。一回行ったことあるし、さっき母さんにも軽く行き方確認したし」
「え、そうなの?ユーイチたち、ちーちゃんの家に遊びに行ったことあるの?」
「家っつーか遊びっつーか。まあな」

 なにその変な返答。

 そう思いつつも、わたしは「そうなんだ」と言葉を返す。

 ガタンゴトンと、わたしたちを運ぶ電車の車窓は青々しく、病院へと向かう道のりを思い出させる。

 とうとう会えるんだ、大好きなちーちゃんに。

 わくわくすれば、ふふっとこぼれ出てくる笑み。
 だけどユーイチは、そこまででもないようで、終始感情のわからぬ顔をしていた。

 楽しみすぎて、心が浮かれて、わたしは突然の訪問にもかかわらず、ちーちゃんに連絡一本入れることを忘れて電車を降りる。

 乗り継いだ次の電車の中だって、頭はちーちゃんのことばかりで埋め尽くされた。

 早く会いたいな。ちーちゃんに。