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 電車に揺られて一時間。とある霊園に辿り着く。

 あらかじめアポイントメントを取っていたのか、正門入ってすぐの礼拝堂の入口で、わたしたちはひとりのお坊さんと合流した。

「お久しぶりですね、片瀬(かたせ)さん。もう一年が経ちましたか」
「本当ですね。時の流れは早いですね」
「おや、そちらの方は?」
「息子の幼なじみです。主人が生前、娘のように可愛がってたんですよ」
「ほう」

 ふくよかで、にこやかで、七福神にいそうなお坊さん。

 彼はわたしに「こんにちは」と会釈をしてから、霊園の方へと進んで行った。

 広い敷地内、同じような灰色の石がずらりと並んでいる。ユーイチのお母さんと世間話をしながらゆっくり歩むお坊さんのあとをついて行っている間は、ユーイチと会話をする。

「お坊さんとユーイチのお母さん、ずいぶんと親しいんだね」
「まあ、毎年会ってるからな」
「毎年?」
「毎年父さんの命日には、あの坊さんにお経をあげてもらってるんだ。七回忌までは親戚も呼んで法事をしてたんだけど、それからは俺と母さんだけで」
「ふうん」

 と、いうことは。
 今日がユーイチのお父さんの命日ということだ。

 十年前の今日、彼が航空機事故で亡くなってしまった日。
 その日のわたしは──……

「着いたぞ、和子。これがうちの墓」

 記憶をたぐり寄せる作業は、一基の墓石の前に着いて止めた。

 片瀬家

 ユーイチの苗字が彫られているお墓に向けて一礼をしたお坊さんに続いて、全員頭を下げる。

「それでは、初めさせていただきます」