テメさんは、元奥さんの家族にうそをつかれていたのだろうか。
元奥さんの実家に足を運んだ際、玲ちゃんはいなかったと言っていた彼だけれど、それはたまたま不在だっただけなのか、それとも存在を隠されてしまったのか。
浮かない顔で膝を曲げたユーイチが、わたしが落としたハンバーガーを拾ってくれた。
「これはもう、食えそうもないな。なにか他のもの、買う?」
その質問には、ふるふると首を横へ振った。
「ううん、いらない」
「でもそれじゃあ、腹空いたまんまじゃん」
「なんかもう、お腹空いてない。食べる気しない」
眉を寄せたユーイチに「ごめん」と言うと、「なんのごめんだよ」と呟くようにツッコまれた。
軽自動車のナンバープレートには、『千葉』と書かれてあった。でもだからと言って、彼女たちがこの界隈に住んでいるのかとか、この海岸によく来るのかどうかはわからない。
テメさんがあれだけ恋しがっていた玲ちゃんを目の前にしたのにもかかわらず、なにもできなかった自分のことを、わたしは不甲斐なく思った。
項垂れれば、テリヤキソースの跡が目に入る。玲ちゃんが「おだいじに」と言ってくれたハンバーガーを、わたしは無駄にしてしまった。
元奥さんの実家に足を運んだ際、玲ちゃんはいなかったと言っていた彼だけれど、それはたまたま不在だっただけなのか、それとも存在を隠されてしまったのか。
浮かない顔で膝を曲げたユーイチが、わたしが落としたハンバーガーを拾ってくれた。
「これはもう、食えそうもないな。なにか他のもの、買う?」
その質問には、ふるふると首を横へ振った。
「ううん、いらない」
「でもそれじゃあ、腹空いたまんまじゃん」
「なんかもう、お腹空いてない。食べる気しない」
眉を寄せたユーイチに「ごめん」と言うと、「なんのごめんだよ」と呟くようにツッコまれた。
軽自動車のナンバープレートには、『千葉』と書かれてあった。でもだからと言って、彼女たちがこの界隈に住んでいるのかとか、この海岸によく来るのかどうかはわからない。
テメさんがあれだけ恋しがっていた玲ちゃんを目の前にしたのにもかかわらず、なにもできなかった自分のことを、わたしは不甲斐なく思った。
項垂れれば、テリヤキソースの跡が目に入る。玲ちゃんが「おだいじに」と言ってくれたハンバーガーを、わたしは無駄にしてしまった。