「さ、駅ついたよ」
終点に着いた電車が止まる。智明に差し出された手をとり電車を降りると微かに潮の匂いがした。
今もうここには俺達を咎める人は居ない。

あの日叶わなかったその先の物語。
智明と2人、バスに乗り換え着いた先は目の前いっぱいに広がる青だった。晴れ渡った空も、それが反射してキラキラと光る水面も、久しぶりにいや、今まで見た何よりも輝いていて、鮮やかだった。
昔は世界鮮やかでもっと一つ一つのことが、時間が輝いていた。色褪せた日々をずっと送って感覚が麻痺していた。日々がつまらなくなったのは成長したからじゃなくて適当になっていただけなんだ。
これからの日々、誰にも邪魔されず、2人で日々を彩ろう。


─幼い僕らの不器用な冒険の未来の話─