最初に意識を持った時、〝僕〟は〝誰か〟と目が合った。
 すぐに顔を逸らしたその人は、僕に背を向け、どこか遠くへ離れていく。

 手を伸ばしても届かない。
 名前を呼びたくても声が出ない。

 そんな夢を見た朝に、〝僕〟は、目を覚ました。