二匹目のドジョウを狙う。って、どういう意味だったかな? 漫画と小説からの知識と小学校までの計算しか出来ないから学がないのよね。
まあ、何が言いたいかっていうと、またマコモを売ろうと市場にやってきたわけよ。
「……人がいないね……」
「……だね……」
市場はがらんとしており、蓙区なんて誰もいない。屋台区は数軒だけだった。
「もしかして、収穫期だからじゃない?」
「収穫? お父ちゃん、そんなこと言ってなかったよ」
「麦も早採りと後採りがあるって聞いたことある」
そうなの? 農家の娘なのにまったく知らなかったわ。いや待てよ。去年も今頃からお父ちゃんの帰りが遅かったような? あれは早採りの手伝いに行ってたってこと?
「そっかー。どっしよーか~?」
これじゃ商売も出来ない。またバイバナル商会に行く?
「なら、冒険者ギルドに行かない?」
「冒険者ギルド? でも、入れるのは十二歳からだよ」
あんちゃんの話では、登録は十二歳からだってことだはずよ。
「おばちゃんの一人が言ってた。十二歳でも仮登録出来るって。村の外の仕事は受けられないみたいだけど」
「へー。そうなんだ。どんな仕事があるか見てみましょうか」
まだ三年は登録出来ないけど、仕事が出来るなら将来のために稼ぐのもいいかもね。
冒険者ギルドは、お城の北側ってのはあんちゃんから聞いている。太陽はあちらから昇るから北はあっちだ。
そう複雑な村ではなく、お城も目立つので迷いようもない。北側は一般庶民の商業区、って感じだった。
「意外と人が住んでそうだね」
「ああ。バイバナル商会があるほうは金持ちが住むところだったんだ」
こんな田舎でも富める者と貧しい者はいるものなのね。まあ、極貧って感じな人はいないみたいだけどさ。
「あれじゃない、冒険者って」
剣で✕を描いたところだからすぐわかるって言ってたけど、本当にすぐわかったわ。てか、本物の剣で✕を作ってんじゃん。
漫画とかの冒険者ギルドは立派なものが多かったけど、やはり田舎なだけに一軒家みたいなサイズであり、人の出入りも少なかった。いや、もう九時くらいだし、もう仕事に行ったのかな?
中に入ると、なかなか年季の入った造りで、軽く百年くらい経っているんじゃないの? ってくらいだった。
カウンターにはおじいちゃんとおばあちゃんが座っていた。
……美人な受付嬢とかじゃないんだ……。
別に美人な受付嬢に興味はないけど、そこは形式美というかテンプレというか、お約束が欲しかったわ。
中には冒険者と思わしき男性一人と町のおばちゃんが二人。とても冒険者ギルドには見えないわね。
おばちゃん二人は冒険者ギルドのおばちゃんとおしゃべりしているのでじいちゃんのほうに向かった。
「あの、仮登録したいのですが、九歳と十歳でも出来ますか?」
「ああ、出来るよ。字は書けるか?」
「名前とちょっとしたものなら書けます」
毎日、とはいかないけど、時間のあるときはティナから教わっている。文章は読めないまでも単語から何となく予想は出来るようにはなったわ。
「名前が書けたら充分さ。これに名前を書いてくれ。」
と、木札を二枚ずつ渡された。
羽根ペンみたいなので名前を書くようで、どちらにもキャロルと書いた。
「これでいいですか?」
ティナのと一緒に渡した。
「ああ。一枚はこちらで預かる。もう一枚は紐を通して首から下げておけ。それで仮登録の証になる」
こんなものでいいんだ。漫画や小説みたいに謎水晶に手を置いたり、オーバーテクノロジーなプレートをくれたりはしないのね。
「これで仕事が出来るんですか?」
「ああ。だが、初めての仕事は決まっている。この仕事を五回繰り返せば本当の仮登録出来るんだよ」
本当の仮登録ってなんだよ! とか突っ込みたくなるのをグッと我慢。どういうことかを尋ねた。
何でもお城の周りの草むしりをすることで本当の仮登録が出来るとのことだった。いや、仮試験にしたほうがいいのでは?
「それって今日から出来るんですか?」
「いや、明日の朝からだな。門の前にある兵士所にその札を見せるといい。あとは兵士の指示に従うことだ。なんなら今から見て来るといい。いきなりじゃ迷うかもしれんからな」
なるほど。下見は大事ってことね。
「ありがとうございます。これから──あ、どんな仕事があるか見てからでいいですか?」
「ああ、構わんよ。仮登録の冒険者の依頼は奥の壁に貼ってあるよ」
手前の壁に冒険者用の依頼書で、奥が仮登録や駆け出しの冒険者が受けられる依頼書のようだ。
「ティナ、読める?」
何となくは読めるけど、三行くらいの文字なのでティナに読んでもらうことにした。
「うーん。大体が家の手伝いで、残りは農作業だね。あ、マコモの依頼もあるよ」
「へー。こないだのが伝わったのかな?」
でも、依頼書があるってことはまだ誰も受けてないってことなの? あ、どこに生っているかわからないから誰も受けないのかな?
「仮登録出来たら依頼を受けてみましょうか」
まあ、なければないで諦めるまで。仕事は結構あるんだしね。
一通り見たらお城に向かった。
まあ、何が言いたいかっていうと、またマコモを売ろうと市場にやってきたわけよ。
「……人がいないね……」
「……だね……」
市場はがらんとしており、蓙区なんて誰もいない。屋台区は数軒だけだった。
「もしかして、収穫期だからじゃない?」
「収穫? お父ちゃん、そんなこと言ってなかったよ」
「麦も早採りと後採りがあるって聞いたことある」
そうなの? 農家の娘なのにまったく知らなかったわ。いや待てよ。去年も今頃からお父ちゃんの帰りが遅かったような? あれは早採りの手伝いに行ってたってこと?
「そっかー。どっしよーか~?」
これじゃ商売も出来ない。またバイバナル商会に行く?
「なら、冒険者ギルドに行かない?」
「冒険者ギルド? でも、入れるのは十二歳からだよ」
あんちゃんの話では、登録は十二歳からだってことだはずよ。
「おばちゃんの一人が言ってた。十二歳でも仮登録出来るって。村の外の仕事は受けられないみたいだけど」
「へー。そうなんだ。どんな仕事があるか見てみましょうか」
まだ三年は登録出来ないけど、仕事が出来るなら将来のために稼ぐのもいいかもね。
冒険者ギルドは、お城の北側ってのはあんちゃんから聞いている。太陽はあちらから昇るから北はあっちだ。
そう複雑な村ではなく、お城も目立つので迷いようもない。北側は一般庶民の商業区、って感じだった。
「意外と人が住んでそうだね」
「ああ。バイバナル商会があるほうは金持ちが住むところだったんだ」
こんな田舎でも富める者と貧しい者はいるものなのね。まあ、極貧って感じな人はいないみたいだけどさ。
「あれじゃない、冒険者って」
剣で✕を描いたところだからすぐわかるって言ってたけど、本当にすぐわかったわ。てか、本物の剣で✕を作ってんじゃん。
漫画とかの冒険者ギルドは立派なものが多かったけど、やはり田舎なだけに一軒家みたいなサイズであり、人の出入りも少なかった。いや、もう九時くらいだし、もう仕事に行ったのかな?
中に入ると、なかなか年季の入った造りで、軽く百年くらい経っているんじゃないの? ってくらいだった。
カウンターにはおじいちゃんとおばあちゃんが座っていた。
……美人な受付嬢とかじゃないんだ……。
別に美人な受付嬢に興味はないけど、そこは形式美というかテンプレというか、お約束が欲しかったわ。
中には冒険者と思わしき男性一人と町のおばちゃんが二人。とても冒険者ギルドには見えないわね。
おばちゃん二人は冒険者ギルドのおばちゃんとおしゃべりしているのでじいちゃんのほうに向かった。
「あの、仮登録したいのですが、九歳と十歳でも出来ますか?」
「ああ、出来るよ。字は書けるか?」
「名前とちょっとしたものなら書けます」
毎日、とはいかないけど、時間のあるときはティナから教わっている。文章は読めないまでも単語から何となく予想は出来るようにはなったわ。
「名前が書けたら充分さ。これに名前を書いてくれ。」
と、木札を二枚ずつ渡された。
羽根ペンみたいなので名前を書くようで、どちらにもキャロルと書いた。
「これでいいですか?」
ティナのと一緒に渡した。
「ああ。一枚はこちらで預かる。もう一枚は紐を通して首から下げておけ。それで仮登録の証になる」
こんなものでいいんだ。漫画や小説みたいに謎水晶に手を置いたり、オーバーテクノロジーなプレートをくれたりはしないのね。
「これで仕事が出来るんですか?」
「ああ。だが、初めての仕事は決まっている。この仕事を五回繰り返せば本当の仮登録出来るんだよ」
本当の仮登録ってなんだよ! とか突っ込みたくなるのをグッと我慢。どういうことかを尋ねた。
何でもお城の周りの草むしりをすることで本当の仮登録が出来るとのことだった。いや、仮試験にしたほうがいいのでは?
「それって今日から出来るんですか?」
「いや、明日の朝からだな。門の前にある兵士所にその札を見せるといい。あとは兵士の指示に従うことだ。なんなら今から見て来るといい。いきなりじゃ迷うかもしれんからな」
なるほど。下見は大事ってことね。
「ありがとうございます。これから──あ、どんな仕事があるか見てからでいいですか?」
「ああ、構わんよ。仮登録の冒険者の依頼は奥の壁に貼ってあるよ」
手前の壁に冒険者用の依頼書で、奥が仮登録や駆け出しの冒険者が受けられる依頼書のようだ。
「ティナ、読める?」
何となくは読めるけど、三行くらいの文字なのでティナに読んでもらうことにした。
「うーん。大体が家の手伝いで、残りは農作業だね。あ、マコモの依頼もあるよ」
「へー。こないだのが伝わったのかな?」
でも、依頼書があるってことはまだ誰も受けてないってことなの? あ、どこに生っているかわからないから誰も受けないのかな?
「仮登録出来たら依頼を受けてみましょうか」
まあ、なければないで諦めるまで。仕事は結構あるんだしね。
一通り見たらお城に向かった。