空襲から数日後。あの日からいろいろあったけど今はだいぶ落ち着いていてしばらく空襲が来ることも無く穏やかに日々を過ごしている。


だけどあの日を境に急に戦争の戦況は悪化していく一方だった。新聞とかでは日本は勝っている、みたいなことを書いているけどそれは嘘ということがわかっていた。


みんなも口には出さないけどこの戦争は負けるのではないか、と思い始めているような雰囲気を出している。


だけど橋本さんは変わらず毎日訓練に出かけては汗を流しながら帰ってくる。


それを見て私はいたたまれなくなる。



「……おかえりなさい」


「ただいま、蛍」



ある日の夜。


橋本さんはいつも以上に遅く帰ってきた。その事に不思議に思ったけど私はいつもと同じように笑って橋本さんのお出迎えをする。


この瞬間が最近1番安心する時間になっていた。


この前の空襲があってから1人になることが怖くなっていた。