俺は、親父のことが嫌いだった。


戦争なんてなくなればいいのにと思った。こんなに簡単に人の命が消える戦争なんてする意味が無い。


行かないでと泣いて止める俺たちを無視して行った親父。そして、そのまま帰らぬ人となった。


こんな理不尽な世界は嫌いだ。


こんな世の中、クソ喰らえだ。


そう思って生きていたのにまさか自分が親父と同じことをするなんて。


なんて自分は情けないのだろう……。


***


とある日の午前中。俺は母さんの家事を手伝っているとドンドン、と玄関が叩く音がした。


誰か来たのだろう。



「電報でーす」


「はいはい。今行きます!」


「母さん、俺出るよ」



忙しそうに動き回っていた母さん。手を拭きながら玄関に行こうとしていたもんだから引き止めて俺が変わりに出た。



「あら、ありがとう」


「うん」



母さんはお礼を言うとそのまま台所へと戻っていく。玄関を開けて郵便局の方から手紙を受け取った。


だけどその手紙を見てドクン、と心臓が跳ね上がる。