サァー……。


優しい風が頬を撫でるように通り過ぎる。どれくらい時間が経ったのか分からない。気づいたら私は木の幹に寄りかかって眠っていた。


そしてその隣では星がどこか遠くを見つめながら座っていた。星はいったい何を考えているのか分からない。


出撃命令のこと?


自分が死ぬこと?


私の……こと?



「……起きたか?」


「う、うん……」



泣きはらした目で星を見ていたら私に気づいたのかこちらを振り返り微笑む。


ードキン。


私の、大好きな星の笑顔。笑顔を見るだけでドキドキする。だけど今のその笑顔はあまりにも切なくて消えてしまいそうだった。



「急に木の幹に寄りかかって眠るからびっくりした。またなにかあったのかと思ったよ」


「ご、ごめん……私も眠るなんて思わなかった」



こんな大事な時に眠るなんて私はバカじゃないの。なんでこうなったんだろう。恥ずかしい……。