あれから三日間。
学校を休んだ。
何もせず、ただ部屋に引きこもっていた。
何度か食事をもってきてくれたが、僕はほとんど食べれなかった。
朝陽からは、何度も連絡があった。
家にも来てくれた。
僕は初めて無視をした。何にも答えなかったんだ。
何も考えられなくて、なんて話せばいいかわからなかった。
それに、メッセージを送ってしまえば、電話に出てしまえば、会ってしまえば何かが変わってしまう気がして、ただただ怖かった……
結局は、僕が弱いだけなんだ。
朝陽っていう僕の居場所を否定されて引きこもって……
これじゃあ、朝陽のこと守れっこないや。
守るとか言ったくせに……
「ははっ」
スマホが鳴った。
留守電が再生される。
『夕陽、元気か? ちゃんと飯食ってるか? 今から、いつものところに行く。話がある。夕陽が来てくれるのを待ってる。何時間でも待つ。来るまで。だから、俺のために、早めに来てくれよ?』
それで終わっていた。
三回くらい再生されて静かになった。
行くつもりはない。
だけど、朝陽はほんとに待ってるのだろうか。
僕のせいであの場所にずっといるのだろうか。
ずっとそのことを考えていた。
気づくと三時間くらい経っていて、自分の意志の弱さに呆れた。
でも、気づいたことがある。
やっぱり朝陽が大事だってこと。
あと、昔母さんが僕に行ってくれた言葉。
考えてる間に思い出したんだ。
だから、大事な人をいつまでも待たせるわけにはいかない。
僕は部屋を、家を飛び出した。
すぐに息が上がってきて、僕はこの三日間の生活を後悔した。
だけど、朝陽のところに行かなくてはっていうその思いだけで足を動かし公園までたどり着いた。
朝陽はいつものベンチに座っていた。
「あ、さひ……」
「夕陽⁈ 来てくれたのか⁈ てか大丈夫か? 今にも倒れそうだけど」
「大丈夫」
「とりあえず座って」
あぁ、朝陽の優しさが心に染みていく……
やっぱり、好きだな。
「話って何?」
「ほんとにね、言いずらいんだけど……ちゃんと最後まで聞いて欲しい」
「うん」
「あのね……僕たち、別れよう」
あぁ、やっぱりそうなんだね。そういわれると、心のどこかで分かってた。
きっと、何か言われたんだ。父さんに……
「ねえ、僕のこと好き?」
「大好きだよ、世界で一番」
朝陽が好き。ほんとに大好き。
「なら、なんで別れるなんて言うの?」
「……」
「答えてよ……」
「……好きな人が、できたんだ。女の子だよ」
「なんっ……」
なんでよ、僕のこと好きって言ったのに、そう言おうと思ったのに……言えなかった。
朝陽は泣いていた……
嘘なんだ。好きな人ができたこと。
なぜか、確信があった。
「嘘、なんでしょ? 好きな人ができたなんて」
「……ほんとだよ」
「嘘だ!朝陽は嘘が下手すぎる」
「そんなことない」
僕ですら騙せないのに上手なわけないじゃん。
「僕のことが世界で一番好きなのに好きな人ができるの? 好きな子ができて、自分が僕のこと振ってるくせになんで泣きながらなの? おかしいじゃん」
「そうだね、おかしいね。でもしょうがないんだよ。僕が守らなきゃ」
「全部、知ってるんでしょ? 僕が父さんと話したこと。言われたんでしょ?」
「……うん」
やっぱり……
「僕、婚約したらしい。いわゆる会社の都合で決まった政略結婚ってやつだよ。いやだけどね、しょうがないんだ。僕のての届かないところにある問題なんだ。どうしようもない。今は相手の女の子がかわいそうに思える。だって、自分の夫は男が好きだとかほんとに救いようがないというか……だからね、せめても、朝陽と恋人でいることはできないんだ」
「そうだね……」
「別れようっていうのってさ、やっぱ、勇気いるし辛いじゃん? 相手が好きならなおさら……でも僕はいわきゃいけないことが決まっていた。だからこそさっきまで僕は壊れてたんだけどね。だから、代わってくれたんだ。その辛い役割を……朝陽は優しいからさ」
「夕陽は僕の考えてることお見通しなの?」
朝陽は泣きながらちょっとだけ笑ってくれた。
「そうだよ。だって、以心伝心だもん!」
「あぁ、そうだったな」
「それでね、母さんが言ってたんだ昔、母さんは僕のこと大好きだって、ずっと一緒だって、僕のこと守ってくれるって。これを思い出して、気づいたんだ。お母さんは、恋人じゃない。友達じゃない。だけど、こう言ってくれる。ほんとはこんなこと言いたくない。だけど、どうしても叶わないのならば、恋人でなくてもいいんじゃないかってね。でも、友達じゃだめだ。足りない。だから、僕たちは……友達以上恋人未満になろう。はっきりとした名前のないこの関係が、今の僕たちに必要なものだと思う」
「夕陽は強いね……」
「違うよ。朝陽がいるから強くなれるんだ」
「そっかそっか。俺がいるから……か」
僕は朝陽と向き合った。
いつの間にか、涙は止まっていた。
僕らの視線が交わりあう。
そして朝陽はこう言った。
「じゃあ、これから友達以上恋人未満ってことでよろしくな!
俺と決めたことだからな、絶対破るんじゃねーぞ?」
朝陽のその口調に涙が零れそうになる……
僕の返事は決まっていた。
「はい! もちろんです! 朝陽様!」
学校を休んだ。
何もせず、ただ部屋に引きこもっていた。
何度か食事をもってきてくれたが、僕はほとんど食べれなかった。
朝陽からは、何度も連絡があった。
家にも来てくれた。
僕は初めて無視をした。何にも答えなかったんだ。
何も考えられなくて、なんて話せばいいかわからなかった。
それに、メッセージを送ってしまえば、電話に出てしまえば、会ってしまえば何かが変わってしまう気がして、ただただ怖かった……
結局は、僕が弱いだけなんだ。
朝陽っていう僕の居場所を否定されて引きこもって……
これじゃあ、朝陽のこと守れっこないや。
守るとか言ったくせに……
「ははっ」
スマホが鳴った。
留守電が再生される。
『夕陽、元気か? ちゃんと飯食ってるか? 今から、いつものところに行く。話がある。夕陽が来てくれるのを待ってる。何時間でも待つ。来るまで。だから、俺のために、早めに来てくれよ?』
それで終わっていた。
三回くらい再生されて静かになった。
行くつもりはない。
だけど、朝陽はほんとに待ってるのだろうか。
僕のせいであの場所にずっといるのだろうか。
ずっとそのことを考えていた。
気づくと三時間くらい経っていて、自分の意志の弱さに呆れた。
でも、気づいたことがある。
やっぱり朝陽が大事だってこと。
あと、昔母さんが僕に行ってくれた言葉。
考えてる間に思い出したんだ。
だから、大事な人をいつまでも待たせるわけにはいかない。
僕は部屋を、家を飛び出した。
すぐに息が上がってきて、僕はこの三日間の生活を後悔した。
だけど、朝陽のところに行かなくてはっていうその思いだけで足を動かし公園までたどり着いた。
朝陽はいつものベンチに座っていた。
「あ、さひ……」
「夕陽⁈ 来てくれたのか⁈ てか大丈夫か? 今にも倒れそうだけど」
「大丈夫」
「とりあえず座って」
あぁ、朝陽の優しさが心に染みていく……
やっぱり、好きだな。
「話って何?」
「ほんとにね、言いずらいんだけど……ちゃんと最後まで聞いて欲しい」
「うん」
「あのね……僕たち、別れよう」
あぁ、やっぱりそうなんだね。そういわれると、心のどこかで分かってた。
きっと、何か言われたんだ。父さんに……
「ねえ、僕のこと好き?」
「大好きだよ、世界で一番」
朝陽が好き。ほんとに大好き。
「なら、なんで別れるなんて言うの?」
「……」
「答えてよ……」
「……好きな人が、できたんだ。女の子だよ」
「なんっ……」
なんでよ、僕のこと好きって言ったのに、そう言おうと思ったのに……言えなかった。
朝陽は泣いていた……
嘘なんだ。好きな人ができたこと。
なぜか、確信があった。
「嘘、なんでしょ? 好きな人ができたなんて」
「……ほんとだよ」
「嘘だ!朝陽は嘘が下手すぎる」
「そんなことない」
僕ですら騙せないのに上手なわけないじゃん。
「僕のことが世界で一番好きなのに好きな人ができるの? 好きな子ができて、自分が僕のこと振ってるくせになんで泣きながらなの? おかしいじゃん」
「そうだね、おかしいね。でもしょうがないんだよ。僕が守らなきゃ」
「全部、知ってるんでしょ? 僕が父さんと話したこと。言われたんでしょ?」
「……うん」
やっぱり……
「僕、婚約したらしい。いわゆる会社の都合で決まった政略結婚ってやつだよ。いやだけどね、しょうがないんだ。僕のての届かないところにある問題なんだ。どうしようもない。今は相手の女の子がかわいそうに思える。だって、自分の夫は男が好きだとかほんとに救いようがないというか……だからね、せめても、朝陽と恋人でいることはできないんだ」
「そうだね……」
「別れようっていうのってさ、やっぱ、勇気いるし辛いじゃん? 相手が好きならなおさら……でも僕はいわきゃいけないことが決まっていた。だからこそさっきまで僕は壊れてたんだけどね。だから、代わってくれたんだ。その辛い役割を……朝陽は優しいからさ」
「夕陽は僕の考えてることお見通しなの?」
朝陽は泣きながらちょっとだけ笑ってくれた。
「そうだよ。だって、以心伝心だもん!」
「あぁ、そうだったな」
「それでね、母さんが言ってたんだ昔、母さんは僕のこと大好きだって、ずっと一緒だって、僕のこと守ってくれるって。これを思い出して、気づいたんだ。お母さんは、恋人じゃない。友達じゃない。だけど、こう言ってくれる。ほんとはこんなこと言いたくない。だけど、どうしても叶わないのならば、恋人でなくてもいいんじゃないかってね。でも、友達じゃだめだ。足りない。だから、僕たちは……友達以上恋人未満になろう。はっきりとした名前のないこの関係が、今の僕たちに必要なものだと思う」
「夕陽は強いね……」
「違うよ。朝陽がいるから強くなれるんだ」
「そっかそっか。俺がいるから……か」
僕は朝陽と向き合った。
いつの間にか、涙は止まっていた。
僕らの視線が交わりあう。
そして朝陽はこう言った。
「じゃあ、これから友達以上恋人未満ってことでよろしくな!
俺と決めたことだからな、絶対破るんじゃねーぞ?」
朝陽のその口調に涙が零れそうになる……
僕の返事は決まっていた。
「はい! もちろんです! 朝陽様!」