日曜日がやって来た。
 僕の体調は一日しっかり休んだおかげですっかり良くなっていた。
 一階にあるリビングで用意された朝食を取った後、自室に戻る。
 ジーンズに白がベースで紺と赤の線で模様の入ったポロシャツを着る。
 このトップスは、朝陽が選んでくれた服で品がある。僕の大好きな服なんだ。
 服を着たら、僕は全身鏡の隣にある棚に手を伸ばし、扉の一つを開ける。
 三秒迷って、シルバーの鎖みたいなネックレスと同じくシルバーのイヤーカフを手に取る。
 慣れた手つきでそれらを身に着け、さっきの扉の隣の引き出しを開け、ヘアブラシとスタイリング剤を取り出した。
 今日は前髪を分けてみよう!そう思って、ヘアセットを進めていく。
「よし、できた」
 我ながら、完璧。
 メイクはしないが、習慣で薬用リップだけは塗るようにしている。
 用意していた斜めかけの黒い鞄をからい、最後に母さんからの最後のプレゼントの時計をはめる。
「準備完了」
 全身鏡を覗くと、さっきまで寝起きのままぼさぼさだった僕が別人レベルの変化を遂げていた。
 ちょっとでも、かっこよくしたいと思い、変わろうと思えば僕でもここまで変われる。自身が持てるようになる。
 実際、おしゃれをして、自分に自信ができてから、誰かにたかられて、金ずるになることがなくなった。自分で断ることができるようになった。自分の意見が言えるようになり、恋人もできた。
「いってきます」
 さぁ、朝陽が待ってる。
 早く行こう。
 素敵な一日が待ってるはずだ。