宿題を丸写しするのはダメだと断ってから、橘はちゃんと自分でやってくるようになった。それでも分からない時はこうして聞きにくる訳だけど、毎回分からないと言いながらもさっさと終わらせて色々話を振ってくるから、もしかしたら単なるきっかけ作りに過ぎないのかもしれない。
「趣味……趣味かぁ……」
「無いの? つまんねー人生だな」
「あるわ。最近だとそうだな、映画とか」
「映画」
「映画かぁ……」と、橘は何だか嫌そうな顔で呟いた。人の趣味に対してなんて失礼な奴なんだ。これだから一軍の人間は。
「別に人の勝手だろ。そういうおまえは普段何やってんだよ」
「オレー? オレは大体だらだらしてる」
「それこそつまんねー人生じゃねーか」
思わず突っ込みをいれると、奴はハッとしたような顔をして、何故か目をキラリと光らせて勢いよく身を乗り出してきた。
「そう! そうなんだよ、つまんねー無駄な毎日なの。だからオレ決めたわ。結城君と一緒に映画行く」
「は?」
いやだっておまえ、さっき嫌な顔してたじゃんと言いたい所だけど、奴は「これで決まりー」とスマホを取り出して、見せられた画面には一番近所の映画館の明日の上映スケジュールが並んでいた。
「どれ行く?」
「え?」
「今予約するから早くして。どれかオススメないの?」
「いや、いやいやいや!」
なんで?と、尋ねた俺に返ってきたのは眉間に皺を寄せた橘の不機嫌な表情。チッと舌打ちまで聞こえてきそうである。
「だから、明日映画行くからどれ行くか決めろって話だよ」
「でもおまえ、反応見た感じ映画好きじゃないだろ?」
「そうだけど、でも明日はいーの」
だから早く決めろと、橘は急かしてくる。いつもいつも急な奴だ。そして、今の機嫌が丸わかりなのに何を考えてるのかはさっぱり分からない、不思議で面倒臭い奴だ。
「あー、待て。考えるから」
更に、一度決めたら絶対折れない頑固な奴。だから俺が折れるしかない。
映画が嫌いな奴が見れるやつ……つまり、分かりやすくて、画面が派手で、長過ぎず面白いやつ……。
「分かった、これだ」
「……え、マジで言ってんの?」
「嫌なら良いから別の奴と行け」
「いやっ、いいけど。いいけどさ、結城君マジ結城君なんだけど。意外過ぎる謎チョイス……」
なんて言いながらもポチポチとその場で予約して、「なんか楽しくなってきた」と呟く橘と明日の集合時間を決めた。
「趣味……趣味かぁ……」
「無いの? つまんねー人生だな」
「あるわ。最近だとそうだな、映画とか」
「映画」
「映画かぁ……」と、橘は何だか嫌そうな顔で呟いた。人の趣味に対してなんて失礼な奴なんだ。これだから一軍の人間は。
「別に人の勝手だろ。そういうおまえは普段何やってんだよ」
「オレー? オレは大体だらだらしてる」
「それこそつまんねー人生じゃねーか」
思わず突っ込みをいれると、奴はハッとしたような顔をして、何故か目をキラリと光らせて勢いよく身を乗り出してきた。
「そう! そうなんだよ、つまんねー無駄な毎日なの。だからオレ決めたわ。結城君と一緒に映画行く」
「は?」
いやだっておまえ、さっき嫌な顔してたじゃんと言いたい所だけど、奴は「これで決まりー」とスマホを取り出して、見せられた画面には一番近所の映画館の明日の上映スケジュールが並んでいた。
「どれ行く?」
「え?」
「今予約するから早くして。どれかオススメないの?」
「いや、いやいやいや!」
なんで?と、尋ねた俺に返ってきたのは眉間に皺を寄せた橘の不機嫌な表情。チッと舌打ちまで聞こえてきそうである。
「だから、明日映画行くからどれ行くか決めろって話だよ」
「でもおまえ、反応見た感じ映画好きじゃないだろ?」
「そうだけど、でも明日はいーの」
だから早く決めろと、橘は急かしてくる。いつもいつも急な奴だ。そして、今の機嫌が丸わかりなのに何を考えてるのかはさっぱり分からない、不思議で面倒臭い奴だ。
「あー、待て。考えるから」
更に、一度決めたら絶対折れない頑固な奴。だから俺が折れるしかない。
映画が嫌いな奴が見れるやつ……つまり、分かりやすくて、画面が派手で、長過ぎず面白いやつ……。
「分かった、これだ」
「……え、マジで言ってんの?」
「嫌なら良いから別の奴と行け」
「いやっ、いいけど。いいけどさ、結城君マジ結城君なんだけど。意外過ぎる謎チョイス……」
なんて言いながらもポチポチとその場で予約して、「なんか楽しくなってきた」と呟く橘と明日の集合時間を決めた。