綺麗に折られた三枚にも及ぶ便箋を折り目通りに畳んで封筒に戻す。連絡待ってます、だって。俺は何度も連絡したのに。ブロックしてたのはどこのどいつだ。

 ずっと開いていなかった橘とのメッセージ画面を開くと、未読のままの俺が送ったメッセージが並んでいた。ここに新しく並べたとして、果たしてあいつに届くのだろうか……いや、届くのだろう。じゃなきゃ手紙なんて書いてこない。
 消印も住所も無い手紙の届け方なんて一つしかない。わざわざあいつはここまでやって来て、声を掛ける事も、スマホに連絡を入れる事もせず、手紙だけポストに入れて帰ったのだ。なぜなら、俺から拒絶されるのが怖かったから。それは俺にも分かる気持ちだった。

 ずっと今日まで嫌な気持ちで過ごしてきた。あいつと同じように、もう嫌われたんじゃないかって。友達だと思われてないんだろうなって、ずっと怖くて、ずっと傷付いてた。勝手にずっと、ずっと。本当はただのすれ違いだったのに。

 全ての悩みが吹き飛んだ新しい気持ちで、俺はそこにメッセージを打ち込む。

 “連絡遅いんだよバーカ”

 するとそこには、既読の印がついたのだった。