歩き続けて昼前になり、だいぶ気温は上がったはずだが、依然として寒い。風が少し強くなってきた。
「風、冷たいね。すごくしみる」
頬を抑えて功一が顔をゆがめた。これだけ腫れていたらさぞ痛いだろうと思う。
「大丈夫か? 薬局寄るか? この時間ならもう開いてるだろ」
「平気。それより、僕の話も聞いてくれる?」
「ああ」
 功一は文化祭の思い出を大事そうに語り始めた。