合宿の行きと帰りの車で見た覚えのある景色がちらちらと目に映る。海の匂いがかすかにする。
「卒業式、もう終わったよね」
 功一が呟いた。太陽を見上げる。当然、太陽の位置から時間を正確に推測するなんて芸当はできない。時間ひとつ知るのにもスマホ頼みの俺にも分かるほど日は落ちつつあった。
「終わってるだろうな」
「終わっちゃったかぁ」
「始まりがあるんだから、いつか終わるだろ」
 俺達はそれを痛いほど知っている。あの日々が永遠に続くのならば、他に何もいらなかったのに。