帝都のお屋敷に着いた翌日。朝食を皆様と食べた。今日は、士貴様はお城の方でお仕事があるとかで朝食後すぐにお城勤めのお義父様と出かけて行った。


「さぁ、紗梛さん。私たちはお買い物に出かけましょう」

「はい! 郁世様、よろしくお願いします」


 まだまだ口に出して『お義父様』『お義母様』と言うのは恥ずかしくて名前で呼ばせてもらっている。恥ずかしいというか緊張が大きいのだけど……

 私とお義母様は準備していただいた馬車に乗り込み帝都の中心部にある皇族の御用達の呉服店にやって来た。


「いらっしゃいませ、長曽我部様。お待ちしておりました」

「急な予約、ごめんなさいね。今日はうちの義娘(むすめ)の着物を仕立てたいと思っていてね」


 ここはお義母様の行きつけのお店らしくて、よくここで仕立ててもらっているらしい。