櫻月の門を出るとそこには馬車が停まっていた。馬車なんて始めて見た……すごい。

「馬車は初めてか?」

「はい。荷物を運ぶだけの簡素な馬車ならありますが、こんな素敵な馬車は初めてです」


 私が長宗我部様にそう言うと「そうか」と言い吹き出すように声を出して笑い出した。


「な、何かおかしいこと言ってしまいましたか!?」

「いや、……馬車だけでこんなに感動されるとは思わなかったから。それに君の表情が可愛らしくて」

「……っからかわないでください!」


 長宗我部さんは笑いながら馬車に乗せてくれて、向かい合って座った。