「ありがとう」

「よしよし。素直にお礼言える子には、あとでチュロスを買ってあげよう」

「先輩ってやっぱりお父さんみたいだよね」

「だから、十八歳だって。てか、美波って変なところで律儀だよなー」

「え? 律儀? っていうか、変なところってなに?」

「敬語は使わないくせに、奢りは遠慮するとか?」

「敬語は気づいたら……先輩が馴れ馴れしいからつられたんだよ」

「俺は先輩っぽくないって?」

「……先輩っていうか、お父さん? なんかたまに親目線だし」

「おい、こら」


わざと眉をひそめた彼に、つい噴き出してしまう。


冗談めかしたやり取りも、遊園地特有のワクワク感も、心を逸らせてくれる。
いくつものアトラクションを制覇するために、私たちは園内の最奥から攻めていくことにした。