「え、なにその顔? 俺ら、秘密の仲なのに」

「へっ? 秘密って……」

「ヘ、変な言い方しないで!」


真菜に興味津々な視線を向けられ、私は慌てて輝先輩に抗議する。


「輝、今のはないだろ!」

「コンビニでアイス奢るから許せ」

「謝る態度じゃねーな」

「そんなに強くぶつけてないだろ」

「アイスとから揚げな」

「はいはい」


軽快なリズムのようにポンポンと交わされていく会話。
そこから、ふたりの仲のよさが窺える。


「っていうか、美波、うまそうなもん食ってるな」

「え?」

「俺、腹減ってるんだよね。一口ちょうだい」


言い終わると同時に、輝先輩が私のクレープにかぶりついた。
残り三分の一くらいだったクレープの半分近くが、彼の口の中に入っていく。


「ちょっ……!」


驚いたのは私だけじゃないようで、隣にいる真菜も唖然としていた。


「あ、うま。これ、そこのクレープだろ? さすが人気なだけあるなー」

「わ、私の食べかけ……!」

「ん? 俺、そういうの気にしないから」


輝先輩はにこにこと笑い、真菜はニヤニヤと口元を緩めている。


「ふーん」


意味深な視線を寄越してきた輝先輩の友達は、私をじっと見てから微笑んだ。