「あっ……」

「なに? 誰?」


彼の隣にいた男子が、こちらを見てくる。
たぶん彼も輝先輩と同じ三年生なんだろうと思った。


夏服の今、輝先輩たちは白いシャツと黒いズボンというシンプルな井出立ちだけれど、なんとなく人目を引いていた。


それは、輝先輩の金髪のせいか、彼の整った顔立ちのせいか。
どちらにしても、私はどう反応すればいいのかわからない。


隣にいる真菜は、驚いた顔で私を見ていた。


「えっ、あの人って夏川先輩だよね? どういう関係? 美波、知り合いだっけ?」


彼女の質問に、なにをどう説明すればいいのか困ってしまう。


「こんにちは、美波の友達?」

「こ、こんにちは……!」


真菜は緊張しているようで、声が少しだけ上ずっていた。


「ああ、この子……あれか、元水泳部の――ぶっ……!」


輝先輩の隣にいた男子の顔に、先輩のスクールバッグが命中する。


「輝! お前、なにすんだよ!」

「余計なこと言うなって」


きっと、私を傷つけないための配慮だったに違いない。


「せっかく美波と仲良くなれそうなんだから」


そう思った直後、予期しない言葉が続いて目を丸くした。