胸の奥が痛い。
もう痛くないはずの足が痛い。


周囲の同情や哀れみ交じりの視線が痛い。
心も体ももうずっと鉛を埋め込まれたように重くて、ただ普通に呼吸をするのも苦しくて……。なによりも、生きていることがつらかった。


「これから……どうすればいいのかわからないの……」


気づけば、誰にも言ったことがなかった本音を吐き出していた。


輝先輩なら共感してくれると思ったのかもしれない。
そうじゃなくても、彼にだけは本心を零しても許される気がした。


「わかるよ。俺も同じだったから」


程なくして返ってきた言葉に、私は安堵する。
共感してもらえたことにも、同じ気持ちを知ってくれていることにも、ただただ安心した。


仲良くなんてない。
昨日知り合ったばかりで、まともに話したのなんて今日が初めて。
名前と学年以外は、元陸上選手だってことしか知らない。


だけど……それでも今は、輝先輩だけが私の唯一の共感者のように思えた。
世界でたったひとり、彼とだけはこの痛みを分かち合える気がしたのだ。