手を引かれるがまま歩くだけだった私は、しばらくしてハッとした。
「あのっ……!」
「誰にも見られたくないならここ。第三倉庫は廃材置き場みたいなもんだからさ」
「え……?」
連れて行かれたのは、昨日いた場所よりもさらに奥。
校舎の裏側ではなく、第三体育倉庫の裏だった。
「昨日の場所は、よくたむろってる連中がいるからやめておいた方がいい。第一第二倉庫は部活で使う奴が多いからダメ。でも、ここなら基本的には人が来ない」
にっこりと笑われて、唖然としてしまう。
毒気のない柔らかい笑顔を前に、ようやく自然と呼吸ができた気がした。
「夏川輝……?」
金色の髪が、そよ風で小さく揺れる。
太陽の光を浴びた金髪は、まるで自由だと言いたげに輝いていた。
「俺のこと、知ってるんだ。東緑が丘の人魚姫に知ってもらえてたなんて光栄だな」
「その呼び方はしないで!」
今一番、呼ばれたくない言い方に、反射的に食ってかかってしまう。
「……ごめん。無神経だった」
途端、彼は申し訳なさそうに眉を寄せ、頭を下げた。
あまりに素直に謝られて面食らってしまう。
これだと、私の方が悪いことをしたみたいに思えた。
「あのっ……!」
「誰にも見られたくないならここ。第三倉庫は廃材置き場みたいなもんだからさ」
「え……?」
連れて行かれたのは、昨日いた場所よりもさらに奥。
校舎の裏側ではなく、第三体育倉庫の裏だった。
「昨日の場所は、よくたむろってる連中がいるからやめておいた方がいい。第一第二倉庫は部活で使う奴が多いからダメ。でも、ここなら基本的には人が来ない」
にっこりと笑われて、唖然としてしまう。
毒気のない柔らかい笑顔を前に、ようやく自然と呼吸ができた気がした。
「夏川輝……?」
金色の髪が、そよ風で小さく揺れる。
太陽の光を浴びた金髪は、まるで自由だと言いたげに輝いていた。
「俺のこと、知ってるんだ。東緑が丘の人魚姫に知ってもらえてたなんて光栄だな」
「その呼び方はしないで!」
今一番、呼ばれたくない言い方に、反射的に食ってかかってしまう。
「……ごめん。無神経だった」
途端、彼は申し訳なさそうに眉を寄せ、頭を下げた。
あまりに素直に謝られて面食らってしまう。
これだと、私の方が悪いことをしたみたいに思えた。