一年前の夏は、憂鬱で仕方がなかった。
真夏の暑さも、部活を頑張る生徒たちも、じりじりと照りつける太陽も。全部が嫌で、ひどく鬱陶しかった。
だけど、今は夏が好き。
輝先輩との思い出がたくさんできた夏が、とても好き。
憂鬱だった日々のことは今でもよく覚えているけれど、それを思い出しても心が傷つくことはない。
だって、私はもうちゃんと前を向いて歩き出せているから。
きっと、これからも大丈夫。
また躓くことがあるかもしれないけれど、時間がかかってもちゃんと起き上がってみせる。
そう思えるくらいには、あの頃よりも強くなれた。
「早く春になればいいのにな」
「うん、そうだね」
ふと零された言葉に、私も大きく頷く。
視線がぶつかったままの私たちは、どちらともなく笑みを零した。
「美波が合格したら、また水族館も行こうな」
「うん、約束ね」
くすぐったさにクスクスと笑って、また目が合って。
すると、彼が真剣な表情になって、ゆっくりと顔を近づけてきた。
高鳴る胸の鼓動を感じながら、瞼を閉じる。
夕日が差し込む赤いゴンドラの中で、ふたりの唇がそっと重なった。
真夏の暑さも、部活を頑張る生徒たちも、じりじりと照りつける太陽も。全部が嫌で、ひどく鬱陶しかった。
だけど、今は夏が好き。
輝先輩との思い出がたくさんできた夏が、とても好き。
憂鬱だった日々のことは今でもよく覚えているけれど、それを思い出しても心が傷つくことはない。
だって、私はもうちゃんと前を向いて歩き出せているから。
きっと、これからも大丈夫。
また躓くことがあるかもしれないけれど、時間がかかってもちゃんと起き上がってみせる。
そう思えるくらいには、あの頃よりも強くなれた。
「早く春になればいいのにな」
「うん、そうだね」
ふと零された言葉に、私も大きく頷く。
視線がぶつかったままの私たちは、どちらともなく笑みを零した。
「美波が合格したら、また水族館も行こうな」
「うん、約束ね」
くすぐったさにクスクスと笑って、また目が合って。
すると、彼が真剣な表情になって、ゆっくりと顔を近づけてきた。
高鳴る胸の鼓動を感じながら、瞼を閉じる。
夕日が差し込む赤いゴンドラの中で、ふたりの唇がそっと重なった。