「うわっ、うまそう!」


ランチボックスに詰めたのは、から揚げ、卵焼き、赤ウインナー、パプリカのレモンマリネ。おにぎりは、梅と塩昆布にした。


この猛暑の中で持ち歩くのは心配すぎて、保冷バッグの中に保冷剤をたくさん入れてきたからまだしっかりと冷えている。
そのせいで、から揚げが硬くなっていないか心配になった。


「いただきます」


丁寧に両手を合わせた彼は、真っ先にから揚げを口に放り込んだ。
軽く咀嚼した直後、パッと笑顔を向けられた。


「めちゃくちゃうまい」

「本当に? お世辞じゃない?」

「お世辞じゃなくて、本当にうまいよ。美波、料理始めたばかりなんだよな?」

「うん」

「才能あるんじゃない? 卵焼きもうまい」


どうやら、本当においしいと思ってもらえたみたいでホッとする。


「いい栄養士になれそうだな」


すると、輝先輩がそんな風に言ってくれたから、思わず笑みが零れた。