* * *
八月。
お盆に入ってすぐに、輝先輩との約束の日が訪れた。
会うのは二週間ぶり。
私は予備校とバイト、彼は試験やバイトで忙しかったから仕方がないとはいえ、この半月はやっぱり寂しかった。
だからこそ、今日が楽しみすぎて、昨夜はなかなか寝付けなった。
(なんかデジャヴ? 去年も全然寝れなくて遅刻したんだよね)
あの日、輝先輩から告白されるなんて夢にも思っていなかった。
ちょうど今くらい時間は、駅からスマホを取りに戻っていた。
今日は絶対に遅刻したくなかった私はもちろん、輝先輩も早めに待ち合わせ場所に来てくれて、予定よりも十分前に合流できた。
「今回は遅刻しなかったな」
そう言って笑った彼も、きっと昨年のことを思い出していたんだろう。
同じことを考えていたんだと思うと、心がくすぐったくなった。
晴天の今日は、開園前の遊園地の前はたくさんの人で賑わっていた。
プールに行くであろう人たちと同じくらい、アトラクションで遊ぶ人も多そうだ。
「今年は去年より混んでるな」
「うん。あんまり乗れないかな」
「うーん……かもな」
もしアトラクションにあまり乗れなかったら残念だけれど、なによりも輝先輩とまた一緒に来られたことが嬉しい。
だから、めいっぱい楽しもうと決めた。