「……去年の俺より成績いいな」

「だって、ほとんど遊ばずに頑張ってるし」

「なんか悔しいわ」

「ふふん」

「でも、美波の成績が上がってくれた方が、俺としても安心だしな。一緒の大学に通えるつもりで待ってるし」


ドヤ顔でいた私に反し、輝先輩が甘い笑顔になった。


「っ……」


急にそんな表情をされると、ドキッとするからやめてほしい。
それに、胸を張っていた私が子どもみたいだ。


「よし、美波の大好物のチーズケーキも奢ってやろう」

「わーい、お父さんありがとう!」

「誰がお父さんだ!」


ドキドキしていることをごまかすために大袈裟に喜ぶと、彼が私の頬を軽くつねってからカウンターの方に行った。


(っていうか、未だにこんなにドキドキするってどうなんだろ……)


輝先輩は知らないだろうけれど、私は付き合った頃から変わらず……もしかしたら、その時よりも今の方がドキドキする回数が増えているかもしれない。


彼が大学生になってから会える日が減っているせいだろうか。
輝先輩に会うたびにドキドキしすぎて、胸が苦しくなる。


会えて嬉しいのに、こういう時はどうすればいいのかわからなくなる。
余裕そうな彼を余所に、私ばかり困っているに違いない。