「俺はちゃんと隣にいるから」


優しい言葉が力強い声音で紡がれた時、目尻から涙が零れ落ちた。


「うん……」


小さく返事をすれば、彼が大きく頷いた。
その瞳は私に寄り添うように優しくて、だけど大丈夫だと言わんばかりにひたむきだった。


いつの間にか雪はやんでいた。


曇り空からは小さく光が漏れ、天使の梯子ができていた。
バカみたいかもしれないけれど、それがなんだか一筋の希望みたいに思えた。


私たちは、きっと自分で思っているよりもずっとちっぽけで。世界の片隅で泣き喚いていても、その声を拾ってくれる人はとても少ない。


だけど、私の傍には輝先輩がいる。
真菜だって、両親だって……たぶん、他にも私を思ってくれている人はいる。


だから、もう大丈夫。
動けなかったこの場所から踏み出すことを怖がらなくていい。


だって、ちっぽけな私たちの世界には、私がまだ知らないたくさんの希望の光があるはずだから――。