『美波さー、なんでそんなに頑張れるの? 最近、ずっと自主練してるよね』
『なんでって……誰にも負けたくないからだよ』
『でも、頑張りすぎじゃない? 今だってタイムが伸びなくてつらいはずなのに、練習のあとにプールが使えない日には陸トレしたりさ……。そこまで頑張るのって、さすがにつらくない?』
『そりゃあ、つらいよ。もちろん、逃げたいって思うこともある』
『だったら、なんでそこまで頑張れるの?』
『私が一番負けたくないのは、自分だから』
『自分?』
『うん。ほんの少しでもサボって試合で負けたら、私はサボった時の自分を許せない。全部全力でやって負けても悔しいのは同じかもしれないけど、その時に過去の自分自身に後悔を感じたくないから。私はいつだって自分自身に胸を張れる私で試合に臨みたいんだ』
たぶんそんなことを話した。
今思えば、あまりにもかっこつけた言い分だったと思う。
だけど、その時の私は本気でそんな風に考えていた。
「すげぇなって思った」
ぽつりと零した輝先輩は、真っ直ぐな瞳で私を見た。
『なんでって……誰にも負けたくないからだよ』
『でも、頑張りすぎじゃない? 今だってタイムが伸びなくてつらいはずなのに、練習のあとにプールが使えない日には陸トレしたりさ……。そこまで頑張るのって、さすがにつらくない?』
『そりゃあ、つらいよ。もちろん、逃げたいって思うこともある』
『だったら、なんでそこまで頑張れるの?』
『私が一番負けたくないのは、自分だから』
『自分?』
『うん。ほんの少しでもサボって試合で負けたら、私はサボった時の自分を許せない。全部全力でやって負けても悔しいのは同じかもしれないけど、その時に過去の自分自身に後悔を感じたくないから。私はいつだって自分自身に胸を張れる私で試合に臨みたいんだ』
たぶんそんなことを話した。
今思えば、あまりにもかっこつけた言い分だったと思う。
だけど、その時の私は本気でそんな風に考えていた。
「すげぇなって思った」
ぽつりと零した輝先輩は、真っ直ぐな瞳で私を見た。