これからも選手として泳げる部員やチームメイトたちが、本当に羨ましくて、どうしても妬ましくて……。今まではライバルで仲間だった子たちの好成績を喜ぶどころか、憎みそうになるくらい心が荒んでいた。


「さすがに幻滅するよな」


だから、眉を寄せる輝先輩に、私は首を横に振った。


「わかるよ……。私もみんなのことが羨ましかったし、すごく妬ましかった。仲間だった子たちのことが嫌いになったくらい……」

「そっか……。同じだな」

「うん……」


少しの沈黙が下り、ふたりで前を見る。
静かに降り続けている雪は、相変わらず地面に落ちては溶けていく。


「そのあとは、もう美波の試合を観る機会はないだろうって思ってたんだけどさ」


再び口を開いた彼が、どこかおかしそうに苦笑を零した。


「あの時から、美波の泣き顔が頭から離れなくなったんだ」


少しだけ複雑な気持ちになった。
泣いていた時の顔をずっと覚えていられるというのは、どう捉えればいいのかわからない。


ただ、輝先輩の話を最後まで聞こうと思った。