「ばあちゃん家はさ、かなり古い集落っぽいところで……今時ありえないんだけど、スマホの電波が届きにくいんだ。電話はノイズだらけだし、メッセージはまともに送受信できない。家電しかまともに使えないようなところなんだよ」


にわかには信じられない。


「だから、俺も兄貴もいとこたちも、滅多に会いに行ったりしなくて……。正月とかでさえ、一泊くらいしか過ごしたことがないんだ。なのに、じいちゃんが倒れたって聞いて、今までそんな理由で全然会いに行かなかったことを後悔した」


ただ、彼の話を聞く限り、うそだとは思えなかった。


「美波に連絡したかったけど、ばあちゃん家では連絡できないし、じいちゃんの傍にいることが多かったっていうのもある。でも、病院の付近は普通にスマホも使えるし、本当は連絡しようと思えばできなかったわけじゃなかった」


輝先輩は息を小さく吐いて眉を下げた。


「どうするべきか悩んでるうちに、二十八日にじいちゃんが亡くなって……。お通夜とか葬式とかもあったし、それからも色々と考えてたら連絡できなかった……」


彼がなにを考えていたのかを聞くのは、少しだけ怖い。
それでも、聞かなくてはいけないし、聞きたいとも思った。