「最低なのは私の方だ……」


自分だけが取り残されてしまうのが怖かった。
輝先輩のことをちゃんと応援していたつもりなのに……。本当はまだ、彼にだけは一緒に立ち止まっていてほしかったんだ。


真実を知った私が一番不安だったのは、自分自身の将来のこと。
私だけがまだ悲しみの沼の中から動けずにいて、世界から自分ひとりが取り残されているような気持ちになって……。


だから、輝先輩がもう前を向いていると知って、またひとりで泣き続けた日々のように絶望して……。彼に対して、不安ごと怒りをぶつけてしまった。


「自己中すぎ……。私、自分のことしか考えてないじゃん……」


謝りたい。
そう思うのに、スマホに手が伸びない。


受験を控えた輝先輩に負担をかけるなんて最低だと、頭では理解している。
だけど、どんなに謝っても、私がひどい言葉を投げつけた事実は変わらない。


(これで振られたら……? 本気で立ち直れないかも……)


そう思うと余計に怖くなって、彼と話す勇気が出なかった。


「もう本当に最低じゃん……」


どこまでも身勝手な自分自身に呆れてしまう。
こんな自分が嫌なのに、それでもまだスマホを持てない。


脳がぼんやりするほど泣き続けていた私は、そのうち眠ってしまっていた。