「嫌なこと思い出しちゃった……」

「あー、希望調査?」

「うん。理系は嫌いだから文系がいいけど、志望校によってはそうもいかないし」

「でも、美波は成績上がってるし、どっちでも大丈夫じゃない?」

「だからって、苦手な選択はしたくないじゃん」

「なるほど。そりゃそうだ」


まずは進路。
それを決めないことには、理系か文系かなんて決めようがない。


なんとなくでもいいから、とにかく大学に進学するのか、それとも真菜のように専門学校にするのかでも、全然違ってくるだろう。


「輝先輩と同じ学校を受けたりしないの?」

「え~、どうだろ……。っていうか、私、先輩の進路知らないんだよね」

「え? なんで? 彼氏の進路だよ?」

「そうなんだけどさ……」


フラペチーノを飲んで、ため息を漏らす。


「ほら、先輩ってけがで陸上をやめてるじゃん? 先輩、陸上で進学を決めるつもりだったみたいで、たぶん他にやりたいことはないんだよね」


最近の輝先輩の様子を思い返してみても、進路が決まった素振りはない。
むしろ、どんどん悩んでいるように見える。